◎郷土料理 4
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山菜のちらし寿司

若竹汁

茶葉の卵焼き 煮貝
つる菜のえごま和え アカモミタケと豆腐の炒め物
大塚人参の羊かん 大塚人参のご飯
薩摩芋の羊かん 奈良漬
しらかがの梅干 金山時味噌
ひじき入りひたし豆 えごまのぼたもち
熊肉のみぞれ酢和え 長葱と柚子のえごま和え
煮なます 牛蒡の落花生和え
大根と人参の天ぷら いのしし汁
鹿肉の焼物 おでん
いのしし肉の焼物 のびるの天ぷら
そら豆の煮豆 もろこし粉のまんじゅう
わらびと筍の煮物 熊肉の唐揚げ柚子味噌かけ
菜の花の煮浸し ぎょうじゃにんにくの味噌汁
鳴沢の凍芋 野沢菜のぬか漬け
おからと赤しし唐の炒め物 茶葉と紫玉葱の和え物
くろすずめ蜂の卵とじ 豆腐のくずあんかけ
白加賀梅のしそ漬けとゆかりご飯 赤ずいき(芋茎)の天ぷらとずいきと胡瓜の和え物

山菜のちらし寿司

春はあけぼのやうやう白くなりゆく山ぎわすこし明かりて紫だちたる雲の細くたなびきたる

かの有名なこの句は、『枕草子』随筆文学の祖と言われる清少納言のうたである。寒かった冬から早春になると一斉に野山に山菜が芽を出す。一般にあくが強いので、処理をして新鮮さと香り、酸味、旨味、苦味、風味などを持ち合わせた山菜をふんだんに用いた「ちらし寿司」を味わってみよう。旬の材料をふんだんに盛り込んで季節感を堪能したいものです。

若竹汁

春一番に筍が野山に芽を出すので、朝早く掘り立てを茹でて「若竹汁」を作ってみよう。筍の成分は、遊離アミノ酸、還元糖など特有の旨味成分がある。呈味成分はグルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸などのアミノ酸とシュウ酸を含む。筍のえぐ味はアミノ酸のチロシンが酸化したホモゲンチジン酸とシュウ酸により米ぬかや米のとぎ汁で茹でると除去できる。他は炭水化物と食物繊維による。沢山収穫したら保存方法は、塩漬け、乾燥、冷凍や瓶詰にしょう。合わせて、筍ご飯、煮物、炒め物、茶碗蒸、和え物などの調理もすすめたい。

材料

・筍の穂先100g・生わかめ80g・山椒4枚・出し汁500cc・酒大さじ1・食塩小さじ2/3・醤油少々

作り方
1) 筍を下茹でして穂先を使う。
2) 生わかめは塩抜きし1pに切る。
3) 鍋に出し汁を入れ1)、2)を加え味を調整する。
4) 器に熱い3)をよそり山椒の葉を浮かす。

茶葉の卵焼き

 五月の新緑のもと、新茶の季節がやってきた。茶葉(若芽)の料理の筆頭には、天ぷらが知られているが「卵焼き」も茶葉のほろ苦さ、噛み応えなど趣味の味が表されている。栄養的には無機質やビタミン類などが優れ、しっかりと摂取できる。

材料

・茶葉100g ・卵4個 ・砂糖大さじ2 ・味醂大さじ1 ・食塩小さじ1/4 ・醤油少々 ・油大さじ1

作り方
1) 茶葉の芯を取り除きさっと洗って水気をきる。
2) ボールに卵、1)、調味料を入れ混ぜる。
3) フライパンに油を敷き、薄煙が出たら2)を流し入れ両面をしっかり焼く。
4) 皿に3)を盛る。

煮貝

煮貝は甲州の郷土料理の筆頭に数えられる貴重な保存食品である。煮貝の原料は日本各地の沿岸で捕れるあわびで、海女(あま)が海中に潜って採取する特殊の潜水漁法である。
江戸時代、浜で煮込んだあわびを駿河から籠坂峠、中道や御坂を越えて馬に乗せ運んだ。醤油漬けは甲府盆地に着くころほどよい保存食の煮貝になっていたと伝えられている。その煮貝は特有のいい匂いとコリコリした歯ごたえの触感、あわびの旨味が甲州庶民の珍味として珍重されている。現在は御贈答用品として高価な品である。

つる菜のえごま和え

つる菜は日本や中国、オセアニア、中南米の海岸の砂地に自生する多年生草本である。日本では「浜ぢしゃ」と呼ばれ、胃病のための薬用・食用とし利用され栄養的に優れている。葉は多肉質で表面に細かい突起があるため、舌にザラついた感じがある。宿根草であり、一度種をまくと毎年その場所で栽培でき便利である。ミネラルやビタミン類を含む緑黄色野菜で、茹でて浸し物や和え物にする。つる菜はアクが強い特徴があるのでアク抜きを必ずする。

材料

・つる菜 150g  ・えごま 30g  ・酢 小さじ1  ・味噌 大さじ1/2 ・砂糖 大さじ1/2  ・削り粉 3g

作り方
1) つる菜は芯の硬い部分を取り除き洗って水きりする。
2) 塩茹でし水に浸しアクをとる。
3) すり鉢で炒ったえごまを丹念にする。
4) 2)は固く絞って3)に入れ、削り粉と調味を加える。
5) 4)は器に高く盛る。

アカモミタケと豆腐の炒め物

アカモミタケは別名をはつたけ、あかはつたけと呼び、ベニタケ科チチタケ属である。
富士山麓では9月中旬に松林のアカマツと菌根共生し、綺麗な橙黄色で白い茎がしっかりと発生する。旨味成分のグアニル酸を含み、栄養価は殆どなく美味である。

材料

・アカモミタケ 300g  ・木綿豆腐 1丁(500g)  ・ピーマン 1個 ・茄子 1個 ・胡椒 少々  ・中華だし 小さじ1  ・赤味噌 大さじ2 ・油 大さじ1

作り方
1) アカモミタケはさっと洗い手でさく。
2) 木綿豆腐は大きめの角切りにしてザルに入れ熱湯をかける。
3) ピーマンは種を取り線切りにする。
4) 茄子は線切りにしてアクを抜く。
5) フライパンに油を入れ熱し、茄子、アカモミタケ、木綿豆腐、ピーマンの順に炒め、調味料で味付けして皿に盛る。

メモ

アカモミタケの特徴は鮮やかな特色をし、風味は少なく、サックとした歯ごたえである。

煮物、焼き物ともなる。

大塚人参の羊かん

材料

・人参 200g ・寒天 1本(7g) ・柚子 1個 ・砂糖 100g  ・味醂 大さじ1 ・水 4カップ

作り方
1) 人参を洗い、皮をむき鍋に水2カップと5mm位の厚さに切って柔かく茹でる。
2) 柚子の2/3を絞って液体を取っておく。
3) 寒天を水2カップでしばらく浸し、煮溶かす。
4) 茹でた人参と茹で汁をミキサーにかけ、ゴムベラを使って鍋に落とし入れる。
5) 4)を合わせ調味料を加え軽く煮る。
6) 型を濡らし流して固まったら1/3の飾り切りした柚子の薄い銀杏切りをのせる。
7) しっかり固まったら適当に切り皿に盛る。

メモ
風味をつける為に柑橘類を用いると良い。
羊かんは1本の寒天(7g)に対し液体の約1%が失敗はない。

大塚人参のご飯

 市川三郷町の曽根丘陵は昔から肥沃な土地に恵まれ、蓮根、牛蒡、人参などの産地として有名であり中でも大塚人参は色濃く香りと食感に優れている。
 大塚人参の特徴は長さ6080cm、長い人参は1mに達し、重量も400600である。収穫は11月初旬から始まり、正月用、贈答用として使われている。

材料

・精白米 3カップ ・人参 250g ・牛蒡 50g ・ひらたけ 3枚  ・油揚げ 1枚 ・醤油 大さじ2 ・酒 大さじ2 ・食塩 小さじ1 ・出し汁 4カップ

作り方
1) 米はといでザルにあげる。
2) ひら茸はさっと洗って両手でさく。
3) 鰹節で出し汁を取る。
4) 牛蒡は薄いさきがけにし、水にさらしてあく抜きをする。
5) 人参、油揚げは線切りにして鍋に出し汁1カップを入れて煮て調味料を加え煮きる。
6) 炊飯器に米と煮た具を入れ残りの出し汁を加えスイッチを入れる。
7) 器に盛り、熱い内にすすめる。

薩摩芋の羊かん

薩摩芋はヒルガオ科の曼性多年草で熱帯アメリカ産である。塊根は食用のほか、デンプンやアルコール、焼酎などに加工されている。
 薩摩芋は16世紀にルソン経由で中国福建省に渡り、1597年に宮古島、1607年に琉球に渡り、1614年に薩摩に渡ってきたことに由来し、伝統ルートによってはさまざまな表現をするところもある。

材料

・薩摩芋 1本(約300g) ・粉寒天 8g(スティック2本) ・水 4カップ ・パルスイート 大さじ2 ・味醂 大さじ1 ・食塩  少々 ・くちなし(液) 小さじ1

作り方
1) 薩摩芋は茹でて熱い内に裏ごししておく。
2) 粉寒天と水を鍋に入れて煮溶かしておく。
3) 1)の裏ごししたものにパルスイート、味醂、食塩を混ぜて煮溶かした寒天とくちなし液を加えて型に入れ冷水で冷やし固める。
4) 3)がしっかりと固まったら角切りにし皿にのせる。

メモ
薩摩芋の羊かんは、お正月料理にも用いられている。
裏ごしをしなくマッシャーでつぶし、固めたものは食感があまり良くないが食物繊維は期待できる。

奈良漬

 奈良漬は古代より、粕漬として上流社会で珍重され、その歴史は1300年近くさかのぼることができると言われている。古くは平城京の跡地で発掘された長屋王木簡(約700年頃)にも「粕漬瓜」と納品伝票に記されている。
 長屋王木簡とは木簡に木片に墨で書いた荷札や文書などのこと。平城宮では1961年に最初の木簡が出土し、近年は奈良市の長屋王邸跡などから約11万点が沢山出てきた。
 奈良漬は江戸時代に入り、幕府への献上品であった。川柳には「ほんのりと嫁は奈良漬の舟に酔ひ」の江戸時代の人々の生活の一端が示されている。
 その後、奈良県を訪れる旅人によって広まり、愛されるようになった。

しらかがの梅干

 梅と言ったら「南高梅」が有名であるが、しらかがは南高梅とはまた違った味が楽しめる大粒の梅である。南高梅は和歌山紀州の梅干しとして名高い。
 梅干も小・中・大の形態が見られるが中でも大粒の「しらかが」は昭和40年頃から北海道、東北を除いたほとんどの地域で盛んに栽培された品種で、山梨でも大粒の梅干しとして筆頭にあげられ6月の適日に赤しそを沢山入れて漬け込む。右の写真は、しらかがの甘酢漬けである。

金山時味噌

 紀州由良禅寺「興国寺」の開祖、法燈円明國師が鎌倉時代に中国(南宋)の金山寺から持ち帰ったとされているが定かではない。金山時味噌(径山寺味噌)は当時、興国寺では野菜と大豆から作られる金山寺味噌を健康食として盛んに醸造し、やがて紀州湯浅周辺の山漁村に伝わったとされている。
 山梨では麦麹に煎った大豆、漬けた茄子をほどよく塩味、味醂、砂糖で調節して成熟し作られる。瓶に多く作り置きし親戚や知人に配ったりもする。暖かいご飯の供として大根、胡瓜、茄子、セロリーと和えてもよい。
 この話題の提供は甲府市住吉の伊藤千穂氏からお聞きした。

ひじき入りひたし豆

材料

・ひじき(乾) 30g ・するめ 50g ・あけぼの大豆 200g ・人参 100g ・出し汁 3カップ ・砂糖 50g ・味醂 大さじ2 ・醤油 大さじ3 ・酒 大さじ2

作り方
1) あけぼの大豆は浸漬する。
2) ひじきは戻し、人参は角切り、出し汁を取る。するめも小さく分け戻す。(汁を用いる)
3) 鍋に1)と出し汁を入れ弱火で約30分加熱する
4) 3)にひじきと人参、調味料を入れ、更に煮る。
5) 4)が十分に柔らかくなったら火を止め器に盛る。

えごまのぼたもち

 山梨県南巨摩郡早川町西山茂倉地区では古来よりえごまを栽培している。
 早秋の10月になるとえごまを収穫し、えごまのぼたもちを作って、収穫を祈願し神仏に供える。えごまは香ばしい臭気とざらっとした触感が好まれ、セサミロールが栄養的にも見直され老化防止とされている。

熊肉のみぞれ酢和え

 熊肉の特徴は、良質なたんぱく質を持ち、特にビタミンAにおいては兎肉の12倍と言われている。
 一般的にはチャーシューは豚肉を使用しているが、熊肉のチャーシューを使ってもよい。さらに、前菜、丼物、和え物などの料理も考えてみよう。熊肉の臭いは独特であり、かなりきついので牛蒡と取り合わせるか下味をつけると良い。
 厳冬の中、2月の「みぞれ」は重苦しく足元をイメージするが水分を含み、太陽の光ですぐ解けるさまが想像され何ともほほえましくもなる。
 この料理については、大月市猿橋の奥秋梅子さんにご提供を頂いた。

材料

・熊肉 150g ・長葱 1本 ・生姜 1個 ・牛蒡 50g ・大根 100g ・酢 大さじ1 ・味醂 大さじ1 ・柚子 1/2個  ・こけももの焼酎漬け 大さじ4

作り方
1) 熊肉は、できるだけ薄く切る。鍋にお湯を沸騰させ、生姜の薄切りと長葱を入れ、さっと茹でる。
2) 大根おろしを作り、調味料を加える。柚子の香りも添える。
3) 器にきれいに盛る。

メモ
熊肉は特有の香りがするので牛蒡、長葱や生姜と煮込んでも良い。
熊肉は硬いので薄く広く切るようにする。

長葱と柚子のえごま和え

材料

・長葱 120g ・えごま 50g ・柚子の砂糖煮 40g ・赤味噌 大さじ2  ・砂糖 大さじ1 ・味醂 大さじ1

作り方
1) 長葱はさっと塩茹でし、3cmに切る。
2) えごまは、軽く炒ってすり鉢で擦り、調味料を入れる。
3) 1)と2)を和え、器に盛り、柚子の砂糖煮を飾る。

メモ

身延町常葉では、えごまは昭和50年頃まで栽培され、別名、「え」と呼んでいた。

えごまは使う分だけいってする。胡麻と異なり、えごまはフライパンの中でパチパチと跳ねない特徴がある。

煮なます

「五目金平なます」と別名、呼ばれる煮なますは、古くから山梨の正月料理の一品として登場している。  大根、牛蒡、人参、油揚、干椎茸の五種類で、細くきれいに切り味濃く炒め煮して仕上げる。(太く切ったら一度下茹でする)この煮なますは、山梨の昭和50年頃までの結納、結婚式など祝の膳にも出現された。


牛蒡の落花生和え

 牛蒡は皮をこそげて上からビール瓶でたたき、2cmに切る。(たたき牛蒡の要領でする)ボールに入れ何度も水を取りかえてあくを抜きゆっくり茹でる。出し汁は煮干の下味を付けて煮、ペースト状にした落花生と赤味噌で和える。落花生の風味と牛蒡のシャッキリ感で味がとてもマッチし、素朴な味で美味しい。

大根と人参の天ぷら

 厳冬の季節、山梨の山間地では限られた食材しかなく、中でも大根は冬野菜の筆頭にあげられる。
 今回は大根と人参、少しの長葱を加え天ぷらにし、それはシャキシャキとした食感と色合いの良さからおすすめである。この料理は昔から山梨の郷土食としての一品である。
 また、揚げたてのジューシーさと風味が格別である。

いのしし汁

 いのしし汁は「しし鍋」、「しし汁」と昔から呼ばれている。
 さて、煮干しの出し汁を作り、鍋に入れ切った冬野菜を加え柔らかくなる頃、いのしし肉を加えゆっくり煮て最後に味を付け仕上げる。
 冬場の野菜は大根、里芋、牛蒡などを加え、あくを取り除き、田舎味噌でまとめる。いのしし汁を椀に盛り好みで長葱や七味唐辛子を上に飾り、熱いうちにすすめる。

鹿肉の焼物

 野生の鹿は、ニホンジカ、エゾジカが知らせている。
 鹿は、赤身肉で脂身が少なく歯ごたえもしっかりし、繊維ぽく噛みごたえがあり、味もたんぱくである。
 鹿肉はできるだけ薄く広く切り、フライパンに少量の油を熱し、薄切りにしたにんにくと共に強火で焼く。鹿肉の片面色が変わったら食塩を少々振りかけて加熱し焼き加減に注意する。鹿肉特有のあっさりした食感が味わえる。

おでん

冬場の寒い日の夕べには鍋を囲んで一家団らん夕食をとる。定番の一つにおでんがある。
 具には、こんにゃく、大根、結び昆布と蛋白源には、はんぺん、ちくわ、茹で卵などを入れ、また花型人参を加えると色彩が綺麗。素材の持ち味を生かし出し汁は昆布だしで良いが、色々の材料から旨みが出るので、気を使わず味が決まる。調味料によっては味噌おでんも出来る。煮込むことに注意し、好みでもみじ卸し、溶き辛子、七味唐辛子を用意すると良い。

いのしし肉の焼物

 野生のいのしし肉は特有の臭みがあるので、生姜・胡椒の下味につけるか、料理後に柚子味噌や、あんかけとして消臭をする必要がある。なお、いのしし肉は傷みが激しいので、小分けにし冷凍にするか、すぐ調理するのが望ましい。

のびるの天ぷら

 春先の野山の食材の一つにのびるがあげられる。のびるはひげね以外の葉先、茎、球根が用いられる。新鮮なうちに下処理して洗い、約5cmに切り天ぷらに揚げると香りが良い。シャキシャキ感と香りが特有である。野草ののびるには胃腸を丈夫にし身体を保温する効果があり「医者いらず」と言われ古代から食されていた。

ざる豆腐

 日本一の富士山の湧き水を利用し「ざる豆腐」が盛んに作られている。豆腐は大豆が主原料で、中国から伝来したものである。
  豆腐は中国で唐代中期にでき、日本は平安時代の春日神社の文献に登場している。このざる豆腐は、凝固剤が薄くとてもざる目が綺麗に示され柔らかい食感の特徴を表わしている。

そら豆の煮豆

そら豆はなつ豆、おたふく豆、しょうゆ豆、ふき豆、エジプト豆など、地域により様々な呼称がある。原産地は、西南アジア、北アフリカと言われている。豆類の中では、栽培の歴史が最も古く、その地区のアジア、アフリカの遺跡から、炭化した、そら豆が出土している。日本へは16世紀頃中国から伝えられた。そら豆は初夏に茹でて食べるか、このように完熟した感想豆を煮豆として用いている。
 中国料理で用いる豆板醤(トウバンジャン)はそら豆が原料である。

もろこし粉のまんじゅう

 もろこし粉は、昭和30年頃まで山梨の山間地では盛んに栽培されていた。冬季には農家の軒下に沢山の甲州もろこしがつるして干されていた。今は幻の甲州もろこしのデンプン質の高いもろこしで、加工用として粉に引いてやきもち、うすやきなどに作り、子どものおやつに食していた。時代が変わり現在は、甲州もろこしは幻の食材となり、ほとんど栽培されていない。ここでは、もろこし粉と小麦粉の蒸しまんじゅうを紹介する。

わらびと筍の煮物

 新緑の季節の代表格にはわらび・ぜんまい・筍などがある。わらびはアクを取り筍も新鮮なうちにアク抜きをする。今回は、わらびと筍の煮物を紹介する。
  わらびの保存法は塩漬け、乾燥、冷凍保存が知られている。それだけに一長一短があるので保存後の調理を考えて保存法を決めると良い。わらびと筍の煮物は身延町栃代の赤池静代氏に資料提供を頂戴した。

熊肉の唐揚げ柚子味噌かけ

 平成18年は天候不順が続き、高い山ではくり、くぬぎ、かやの実など、熊の食料が不作であった。そのために里では、熊、いのしし、鹿、サルなどの出没が多く、被害が頻繁にメディアを賑していた。野生動物と人間の共生が謳われた年であった。つきのわ熊は1115日から215日の3ヶ月間、猟期のみの狩猟が限られ頭数が増えただけ許可がでると言われている。
 熊肉はコラーゲンに富み肉質が硬く、他の肉に比べ最高の旨味が特徴的である。今回は小さく切って軽く生姜汁をまぶし片栗粉をはたき、唐揚げとした。さらに、柚子味噌をかけた。熊肉は硬く噛みごたえがあった。熊肉はジンギスカン鍋、ほうとうに入れてもよい。熊肉の提供は大月市猿橋町の奥秋麻美さんに頂いた。

菜の花の煮浸し

 菜の花の便りが聞かれる以前に菜の花(つぼみ)を採取し、さっと塩茹でする。沢山あるときは、小分けにしてナイロン袋に密閉して冷凍保存にすると良い。今回は、人参の細い線切りと和えて旨味の効いた出し汁で煮浸しとした。

ぎょうじゃにんにくの味噌汁

ぎょうじゃにんにくは、高い山に自生している。現在では、畑の隅に栽培している農家もある。ぎょうじゃにんにくは香りが一番なので、味噌汁の浮かし実に適している。
 この特有の香りは含有アミノ酸で血小板を溶かし血栓を予防するので動脈硬化、脳梗塞などに良いとされている。ぎょうじゃにんにくにはアリシンをも含み抗菌作用、疲労回復などの働きもあると言われている。

鳴沢の凍芋

 富士山の北側、富士河口湖町鳴沢には「凍芋」という冬場の保存食が伝えられている。その凍芋は現在では、寂しいことに二軒しか作られていない。鳴沢の凍芋は富士河口湖町勝山の堀内久美氏に資料提供を頂戴した。

凍芋の作り方
1) じゃが芋をよく洗う。
2) むしろ(わらを編んだ敷物)の上に1)を一列に並べ寒い日に凍らせる。天気の良い日に新しいわらじをはき、水分を出すために何日も何回も足で踏む。踏み終えたら再び裏・表の両面干す。何日も踏む・干すを繰り返す。
3) 水分が統べて取れしっかりと乾燥したら缶に入れ使うまで保存する。

調理方法
1) じゃが芋の皮がむけない様に軽く洗う。
2) 水に入れ戻す。(ザルに芋を入れ水が入ったボールにつけこむ。汚れも落ちてくるので水を何日もかえる。)
3) 2)を水から煮込む。芋が透明になってきたら火を止める。全体が形が崩れたり、トロミにならない様に手早く仕上げる。

メモ
味付けはない。
家庭によって塩、醤油、みりんを加える家もある。
世界的にはアンデンスの高地でも「チューニョ」として冷凍乾燥芋が知られている。チューニョは煮込み、更には乾燥して粉にしても用いている。

野沢菜のぬか漬け

 日本各地の漬物は、気候風土、材料、漬け方の方法などにより多種多様の加工品が生まれた。
 野沢菜は、市川三郷町三珠地区で盛んに栽培している。収穫した「野沢菜」は、長野県の諏訪や茅野の加工業者により、「信州野沢菜漬け」として、販売されている。
 さて、秋に種まきを行いハウス栽培により翌年3月から4月にかけ収穫している。野沢菜は、他の野菜に比べ味も優れ収穫量も高く丈も約1mと長く漬け物としてそろえて切りやすいなど多々扱いやすいのが特徴的である。また野沢菜漬け入りのおやきも有名である。
 ここでは、簡単にできる「ぬか漬け」を紹介する。野沢菜は、先に洗って、水気をきり、約一昼夜塩漬けする。風味や保存を図るために、乾燥の唐辛子を45本加え米ぬか中に塩を入れた沸騰湯を冷まし加え「ぬか床」を作る。野沢菜や野菜を入れるごと食塩を補足し、ぬかが慣れるようにし、乳酸菌や酵母の働きで、独特の風味を生み、また、雑菌の繁殖を防ぎ保存していくのである。「塩の振り具合」は勘と経験が大切である。ぬか漬けの野菜は、酵素を出し、周りの微生物と作用し乳酸菌を生み発酵をすすめるので、何日も漬け古くなると乳酸菌が多くなり酸味を感じる。乳酸菌は、有用菌として調整作用があり健康を守るため多くの働きが証明されている。ぬか漬けのビタミンB1は潤滑油の役目とまた、野菜漬けにもBが含まれ期待でき、更に野菜の食物繊維は調整作用が効果的である。

おからと赤しし唐の炒め物

 おからは豆腐の製造過程での豆乳の絞りかすである。食物繊維が多いので注目されている。赤しし唐は甘味種のとうがらしの一つ、ピーマンのように丸くならず細長い円筒形を表し一本の木に100個近くなる。種が気になるので縦半分に切って除いて用いる。一般には、緑色の物を用いるが夏畑で熟して赤くなる。今回は、油炒めの調理法でおから、長葱、赤しし唐の線切りに調味し炒めた煮物を紹介した。

茶葉と紫玉葱の和え物

五月の茶摘みの45日前に若茶葉を摘んでさっと茹でる。そのままの若葉は風味とほろ苦さ、食感が何とも言えない味わいである。
 紫玉葱もシャッキリ感を出して和え物とする。玉葱の原産地は中央アジア一帯、歴史は古くイランを中心に西アジアまた、ヨーロッパ他広く分布するようである。
 現在も中央アジア、インド、エジプト、トルコなど野生種に近い原始的品種の玉葱が栽培されているという。 日本に導入されたのは、江戸時代に南蛮船により長崎に定着し、明治以降本格的に栽培を始めアメリカから各種作物が導入された。特に他の玉葱に比較し赤玉葱・紫玉葱は風味と甘みがあり肉質が柔らかく更にシャキ々感が魅力となっている。他にも黄玉葱、白玉葱、小玉葱などがあり特徴が表れている。
 玉葱の目にしみる辛味成分は、刺激臭の硫化アリルで胃腸の分泌を活発にし食欲促進効果がありまた、血栓予防や成分のジスフィルドは血糖値を下げたり便秘予防効果もあるようである。玉葱は、抗酸化作用があるケルセチンなど有効成分が注目されている。ここではドレッシングで和え物とした。

くろすずめ蜂の卵とじ

2007年の夏は猛暑で岐阜県多治見市と埼玉県熊谷市で史上最高の40、9度を記録した。今年は「ラニーニャ現象」の影響も言われている。気象庁は、日最高気温が摂氏35度以上の日のことを「猛暑日」と定義した。更に9月になっても温度計は30度を超える日がある。熱中症の患者など記録破りであった。甲府盆地も暑さにつけては有名で2004年7月21日に40、4度を記録した。
 さて、暑い夏になると峡南地方では、「くろすずめ蜂」がどこの家の軒下に巣を作った、隣のお蔵の屋根裏に、前の家の玄関先に作ったと話に花が咲く。今回もまた、身延町栃代の赤池萬志氏にくろすずめ蜂の資料提供を頂いたので、卵とじとした。夏の野菜を使って、オクラの卵とじ、茄子の卵とじ、キャベツの卵とじなど淡泊でくせのない野菜と取り合わせると油で炒めた蜂の子が引きたつ。

豆腐のくずあんかけ

 豆腐の種類は数多くあり、中でも「絹ごし豆腐」は見た目や食感が好まれている。柔らかさが特徴で料理には、すって混合するかそのまま器に入れて主役にするか、くずあんかけなどと調理方法が考えられる。
 豆腐には、カルシウム、良質たんぱく質、不飽和脂肪酸、ビタミンKなどが多く期待できる優れた食品である。
 室町時代の八代将軍で銀閣寺の建立者である足利義政は、「わび・さび」の東山文化を確立した。ところでこの足利義政の時代に豆腐料理がいくつも考案され、この「豆腐のくずあんかけ」もあったようだ。豆腐料理は湯豆腐、冷奴を代表に味が淡白の上にしっかりと豆腐の味を示した特徴がある。
 昨今、おぼろ豆腐やざる豆腐など形体を固有名詞にした豆腐も出回っている。

白加賀梅のしそ漬けとゆかりご飯

 梅は多くの種類の中で、「しらかが」は梅実が大きく大粒種に属し、しっかりした肉厚の特徴が見られる。梅干しは、優れた殺菌効果や防腐効果のため日本人の食生活に不可欠である。梅の原産地は、中国中部から南部で、花は観賞用、果実は薬用として、8世紀の中頃に中国から渡来し『万葉集』、『古今集』には桜よりも梅の花が多く示されている。
 赤しそは、色素の多少で幅広い変異やちりめん状など多くの系統に分けられる。何と言っても一番の特徴は、アントシアン系色素のシソニン、ペリラニンの色彩が着色料として使われているところにある。また、赤しそには、骨にカルシウムを取り込みやすくする働きのあるビタミンKが豊富に含まれてる。しその香気は、ペリラアルデヒドと呼ばれ単独の香気臭を発する。
 赤しそは、夏にしそ酒やジュース、塩漬け、佃煮に加工したりもする。
 梅漬けの赤しそは、夏の一番暑い頃を選んで「土用干し」をする。「ゆかり」の名称は、「緑色」(ゆかり)の古歌から生まれた。竹の笊にのせ2、3日太陽で乾燥し摺って粉末後小分けとし密閉して保存する。紫色で香り、着色、菓子材料にと用いられている。ここでは、ゆかりご飯とした。
 写真は左から白加賀梅のしそ漬け、赤しそ漬けの土用干し、ゆかりご飯である。

赤ずいき(芋茎)の天ぷらとずいきと胡瓜の和え物

 八月になると生のずいきの料理が出現する。里芋の葉柄で水分が多く水々しく歯ごたえ良いのが特徴的である。
 アクがあるので、根元から葉の方向に沿って薄く皮をむき約4cmに切り、酢水で下茹して用いる。  えぐ味はホモゲンチジンと呼び、赤色を保つアントシアン系色素促進に酢を加えて、茹でるとよい。今回は天ぷらと和え物を紹介し他に味噌汁、煮物にも利用できる。


 資料提供:山梨学院短期大学食物栄養科 准教授 依田萬代先生